おそらくお気づきの通り、FRBが利上げをすると米ドルは急騰し…
一方で日銀がハト派姿勢を維持すると、ドル/円は大きく動きます。
でも、なぜ本当にこうしたことが起こるのでしょうか? その仕組みをひも解いてみましょう。
1. 金利 = お金の価格
金利は資本を借りるための“家賃”だと考えてみてください。中央銀行が利上げを行うと、それはつまり『今はお金が高いですよ』と言っているのと同じです。投資家はより高いリターンを求めて資金を投じ、資本が流入し、その国の通貨は強くなります。逆に金利が低ければ、資本はより良い扱いを受けられる場所へ逃げていきます。
だからこそ、FRBのフェデラルファンド金利がわずか0.25%動くだけで、通貨・債券・株式市場において数兆ドル規模の資金が一瞬で動くのです。」
2. 中央銀行が市場を操作するメカニズム
• FRB(USD):世界の流動性に方向性を示す存在。パウエル議長の一言がタカ派的であれば、市場は大きく揺らぐ。
•ECB(EUR):ドイツのインフレとイタリアの債務問題の間で常に板挟み。複雑だが影響力は大きい。
•日銀(JPY):超低金利・マイナス金利の達人。円安を維持し、輸出企業が恩恵を受けるようにしている。
しかし重要なのはここです:市場を動かすのは実際の数字そのものではほとんどありません。カギとなるのはガイダンスです。トレーダーたちは数週間前から期待を織り込みます。驚きを与えるのは、そのトーンなのです。たった一言の「根強い」や「一時的」といった表現が、市場をひっくり返すこともあります。
3. これがチャートにどう影響するのか
•為替:金利差がキャリートレードを動かします(AUD/JPYが定番だった理由、気になったことはありませんか?)
•債券:金利上昇 → 利回り上昇、価格下落
•株式:成長株は借入コストの上昇を嫌い、銀行株は歓迎
•金:実質利回りに注目。金利がインフレより速く上昇すると、通常金価格は下落します
4. 実際の例
2022年を覚えていますか?FRBは積極的に利上げを行いました。その結果、ドルは円を圧倒し、20年ぶりの水準に到達しました。利上げでドルが強くなり、政策の乖離で円が弱くなる、という市場の基本を理解していたトレーダーたちは、その波に数か月間乗ることができました。
5. 取引における優位性の活かし方
•ベテラン・トレーダーを際立たせるポイントは次の通りです:
単に決定に反応するだけではない
•フェデラルファンド先物などのツールを使い、すでに織り込まれた内容を把握している
• 驚き(サプライズ)に対して取引する。なぜなら、サプライズ=ボラティリティ=チャンスだからです
では次に進むテーマです:もし金利がハンドルだとすれば、インフレは燃料タンクです。明日は、インフレがいかに中央銀行に決断を迫るのか、そしてトレーダーが実際の動きが起こる前にその流れをつかむ方法について掘り下げていきます。