これまで金利と中央銀行を個別に見てきました。しかし、FXで本当の魔法が起こるのは、それらを比較したときです。
そこで登場するのが金利差であり、通貨取引における最も強力な力の一つなのです。
1. 金利差の背後にあるシンプルな計算
通貨は単独で動くわけではありません。すべてのFXペアは相対的なストーリーを反映しています。
FRBが利上げ、日銀がハト派のまま → USD/JPYは上昇
RBAが利下げ、FRBは据え置き → AUD/USDは下落
👉 トレーダーが注目するのは絶対金利ではなく、2国間の利回り差です。
2. キャリートレードの実例クラシックな例:AUD/JPY
JPYで借り入れ(ほぼ0%の資金調達コスト)
AUDに投資(歴史的に4〜6%以上の利回り)
利回り差と為替の上昇分を獲得
落ち着いた「リスクオン」市場では、この戦略によりAUD/JPYは何年も上昇しました。
しかし、ボラティリティが高まるとキャリートレードは急速に巻き戻され、ポジションが解消されるとJPYは強くなります。
3. プロが金利差を追跡するためのツール
国債利回り:各国の2年債や10年債の利回りを比較
フォワードレート / OISスワップ:市場が将来の金利をどう見ているかを示す
フェデラルファンド先物 & OISスプレッド:FRBとECB/日銀の政策乖離を価格に織り込むのに最適
4. 実際の市場事例:USD/JPY 2022–2023
FRBは積極的に利上げ(米国10年債利回り → 4%超)
日銀はハト派を維持(10年JGBはほぼ0%で上限)
結果は? USD/JPYは約115から1年未満で150超まで急騰 ― 過去数十年で最も明確な金利差トレードの一つ
👉 この金利差は単なる補足ではなく、まさに取引そのものでした。
5. 取引における優位性の活かし方
経験豊富なトレーダーとして、常に自問してください:
今、最も大きな金利差はどこにあるのか?
その差は拡大しているのか、それとも縮小しているのか?
その金利差はすでに市場に織り込まれているのか、それとも市場が過小評価しているのか?
そこにこそチャンスが存在します。
次に向かうテーマ:明日はインフレのサプライズとボラティリティについて掘り下げます。
なぜなら、トレーダーが金利差を理解していても、急なインフレショックこそがスパイク(急騰)や大幅下落を生み出し、それに対応する必要があるからです。